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福岡地方裁判所 昭和54年(わ)31号 判決 1979年4月13日

本籍

福岡市南区市崎二丁目一四二番地

住所

右同所 一一番一六号

歯科医師

中冨清

大正一一年一月一三日生

所得税法違反被告事件

出席検察官

平和人

主文

被告人を懲役八月および罰金五〇〇万円に処する。

本裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

右罰金を完納しないときは金一万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、福岡市中央区天神一丁目一〇番二四号福岡三和ビル三階において歯科医院を経営しているものであるるが、所得税を免れようと企て

第一、昭和五〇年分の実際の所得金額が二〇、〇九一、四四四円であつたにもかかわらず、自由診療収入の一部を除外し、所得を秘匿した上、昭和五一年三月一二日、同市中央区天神四丁目四番四八号所在の福岡税務署において、同税務署長に対し、昭和五〇年分の所得金額が一三、五三三、二四四円であり、これに対する所得税額が二、〇七八、二〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により同年分の正当な所得税額五、二〇七、一〇〇円と右申告税額との差額三、一二八、九〇〇円を免れ

第二、昭和五一年分の実際の所得金額が四一、三一〇、六四六円であつたにもかかわらず、前同様の不正な方法により所得を秘匿した上、昭和五二年三月九日、前記福岡税務署において、同税務署長に対し、昭和五一年分の所得金額が一五、六四三、一七一円であり、これに対する所得税額が二、三二六、三〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により同年分の正当な所得税額一六、六八五、三〇〇円と右申告税額との差額一四、三五九、〇〇〇円を免れ

第三、昭和五二年分の実際の所得金額が四四、一二八、四三九円であつたにもかかわらず、前同様の不正な方法により所得を秘匿した上、昭和五三年三月一四日、前記福岡税務署において、同税務署長に対し、昭和五二年分の所得金額が一八、六一七、四九〇円であり、これに対する所得税額が二、九一二、〇〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により同年分の正当な所得税額一七、六三四、三〇〇円と右申告税額との差額一四、七二二、三〇〇円を免れ

たものである。

(証拠)

第一、脱税額計算書、同説明資料(検1、2号)査察官調査書(検7号)

第二、脱税額計算書、同説明資料(検3、4号)査察官調査書(検8号)

第三、脱税額計算書、同説明資料(検5、6号)査察官調査書(検9号)

全般 査察官調査書五通(検10ないし14号)

中冨多恵子の申立書(検15号)

大正海上火災保険株式会社福岡支店総務課長小山慎一郎の証明書

領置てん末書二通(検17 18号)

差押てん末書二通(検19 20号)

押収にかかる、

五〇年分自由診療収入明細書一綴(昭和五四年押五〇号の一)

五〇年分の所得税の確定申告書一綴(同号の二)

五一年分の所得税の確定申告書一綴(同号の三)

五二年分の所得税の確定申告書一綴(同号の四)

元帳(五一年分)一冊 (同号の五)

元帳(五二年分)一冊 (同号の六)

患者入金メモ 一葉 (同号の七)

メモ帳(赤色)一冊 (同号の八)

メモ帳(青色)一冊 (同号の九)

日進商事株式会社福岡支店リース部主任田中六明の確認書

被告人の上申書二通(検31、34号)

中冨多恵子の申述書(検32、33号)

保母研修同好会事務局主事 佐野禎助の確認書

査察官報告書六通(検36ないし41号)

大蔵事務官作成の中冨多恵子に対する質問てん末書九通(検42ないし50号)

中冨多恵子の検察官に対する供述書二通(検51、52号)

大蔵事務官作成の中冨美紀子(二通)皆島淑子(一通)に対するてん末書

中冨美紀子(二通)皆島淑子(二通)沢中実蔵、馬場文子、有馬富士子の検察官に対する各供述調書

大蔵事務官作成の被告人に対する質問てん末書一五通(検63ないし77号)

被告人の検察官に対する供述調書四通

被告人の当公廷における供述

(法令の適用)

各所得税法二三八条一項(併科刑選択)

刑法四五条前段四七条本文一〇条四八条二項(第三の罪の刑に加重)

刑法二五条一項一八条

(裁判官 知識融治)

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